【RPW】ヒールユニット所属のベビーフェイス、辻陽太がエンパイアのマーク・デイビスと激突
- 2022.04.18
- RPW(Revolution Pro Wrestling) 海外プロレス団体
- RPW, 辻陽太

2022年3月5日に開催されたイギリスのレボリューションプロレスリング(RPW)のRAW DEAL 2022で、辻選手がマーク・デイビス選手と対戦しました。RPWに存在する明確なヒールユニットとしては、THE LEGIONとUNITED EMPIREがあります。この試合は初めて組まれた純粋な両ヒールユニットの選手同士のシングルマッチでした。
辻陽太vsマーク・デイビス詳報
この日の辻選手はRPWのリングでの久しぶりのシングルマッチ。また、対戦相手のマーク・デイビス選手とのシングルマッチも初。タッグではこれまでに3回顔合わせをしている(2022年2月6日辻&海野vsAUSSIE OPEN、2021年10月9日辻&海野&スコッティ・デービスvsAUSSIE OPEN&オスプレイ(OTT)、2021年9月26日辻&海野vsAUSSIE OPEN)。
このシングルマッチはTHE LEGION vs UNITED EMPIREという構図のシングルマッチ。しかし互いにセコンドはおらず、試合そのものはクリーンに始まる。試合序盤はロックアップから首を取ったり腕を取ったりというオーソドックスな展開。辻選手のブレーンバスターを堪え、ボディスラムからマッスルポーズでカバーすると会場からはブーイング。どちらもヒールユニットだが、構図としては辻選手がベビーフェイスになる。
辻選手はデイビス選手の左膝に向けて低空ドロップキックを三連発。そして棚橋選手ばりのドラゴンスクリューを決める。デイビス選手は左足を抱えて悶絶。辻選手がロープに走ってティヘラを狙うも、これはデイビス選手が堪える。デイビス選手が辻選手を抱えてそのままパワーボムの体勢に入ろうとするも、辻選手もこれを回避する。そして今度はデイビス選手の右足を取ってドラゴンスクリュー。
辻選手はコーナーに上ると、トップロープからのヘッドシザーズを身軽にこなす。そしてその場跳びムーンサルトからカバーするもカウントは2。会場は辻選手の応援チャントで沸く。
そしてブレーンバスターに取ろうとしたところを、逆にデイビス選手が抱えあげ、トップロームに向けて落とす。辻選手はお腹を抱えて場外へ。デイビス選手は辻選手を追って行き、両者は場外で揉みあう。デイビス選手が優勢な状態で辻選手をリング内に戻すと、辻選手はそのままロープに走ってトペスイシーダを見舞う。これを不意に食らったデイビス選手は大ダメージ。這うようにしてリング内に戻る。
辻選手は再度トップコーナーに上り、シューティングスタープレスを狙う。しかしこれはデイビス選手がなんとか阻止し、逆にコーナー上の辻選手を襲う。なりふり構わないデイビス選手は辻選手の頭に噛み付く。そして雪崩式のブレーンバスター。デイビス選手はカバーの体勢に入るも、辻選手はカウント2で肩を上げる。
そしてデイビス選手がパワーボムにいこうとするのを堪えると、辻選手が延髄切り。両者フラフラになりながらエルボーを打ち合う展開に。デイビス選手の強烈なエルボーで辻選手がダウンするも、すぐに立ち上がりやり返す。デイビス選手の側頭部にハイキックを見舞うと、辻選手はロープに走る。しかしデイビス選手がこれを持ち上げると、そのまま前に落とす。そして無理やり引き起こしてラリアット。そしてデイビス選手は辻選手を抱えあげ、ハイアングルパワーボムを狙うが、辻選手はウラカン・ラナで回避。辻選手はラリアット二連発で一気に畳みかける。そして3発目を狙ったところをうまくかわされ、逆に後頭部へのラリアットを喰らう。デイビス選手はそのまま辻選手に投げっぱなしのジャーマンを見舞う。そしてデイビス選手はパワーボムで試合を決めようとするも、辻選手はなんとかカウント2で肩を上げる。
攻め手を欠いたデイビス選手は辻選手をコーナーに詰め、顔面ウオッシュ。さらにロープに走って勢いをつけようとしたところに辻選手のスピアーが決まる。それもボディーにではなく、試合序盤に痛めていた左膝に向かってのもの。これにはデイビス選手も悶絶し、場外へとエスケープ。辻選手はみすみす場外で休ませることをしない。デイビス選手に向かって走り、ロープ手前で体を反転させてバク転をしながら場外のデイビス選手に体をぶつけていく。助走をつけたラ・ケブラーダといったところか。
辻選手はデイビス選手をリング内にもどし、ブレーンバスター。そしてデイビス選手をコーナーに乗せて雪崩式の技を狙うも、デイビス選手に叩き落とされる。そしてリバースのデスバレーボム。そしてその直後に強烈なパイルドライバー。これは辻選手も返すことができず、3カウントを奪われた。
なぜ辻はベビーフェイスなのか?
この試合を通じ、会場からは辻選手への熱い声援が送られました。対戦相手のデイビス選手に対しては反則を行なっているわけでもないのにブーイングです。ただ、これはデイビス選手に限らず、UNITED EMPIREの選手に対しては基本的にブーイングが送られます。もちろん、ブーイング一辺倒ではなく、特にオスプレイ選手に対しては声援も送られますが。この試合に限って言えば、ヒールユニット同士のシングルマッチにも関わらず、完全にベビーvsヒールの構図になって今いた。それは、イギリスのファンは辻選手のことを完全にベビーフェイスだと認識しているからに他なりません。少なくともこれまでに辻選手に対してブーイングが送られたシーンを見た記憶がありません。
そもそも辻選手がTHE LEGIONというあのグレート-O-カーン選手も所属していたヒールユニットに所属しているのは、自ら望んでそうなったわけではありません。THE LEGION総帥のギデオン・グレイ氏から執拗に勧誘された辻選手は、グレイ氏が辻選手とシングルマッチでグレイ氏が勝てばTHE LEGIONに入る、そして自分が勝てばTHE LEGIONは解散するという条件を出しました。そしてそのシングルマッチでは終始辻選手が圧倒していたのですが、最後に丸め込まれて辻選手が敗北し、THE LEGION入りとなったわけです。
THE LEGION入りしてからの辻選手は、試合中にセコンドのグレイ氏やルシアン・フィリップス選手からの介入や凶器の提供を徹底的に拒否してきました。グレイ氏の指示には一切耳を傾けようとしません。むしろタッグを組んでいる海野選手の方が凶器を使うシーンが見られました。最近ではグレイ氏が辻選手のことを見限るような、そんな動きも見られるようになりました。
People of Huntingdon – while I’m pleased you get to see Luke Jacobs, I am very sorry you have to watch Yota Tsuji.
I’ve tried my best to make him good, but he just doesn’t listen.
Thank you for supporting The Legion in these trying times. https://t.co/Ow5yP0n3Pu
— Gideon Grey (@LordGideonGrey) April 8, 2022
ハンティンドンの皆様、ルーク・ジェイコブスをお見せできるのは嬉しく思いますが、皆様方が辻陽太を見なければならないのは非常に残念です。私は彼を良くしようと最善を尽くしましたが、彼はどうしても言うことを聞きません。このような大変な時にTHE LEGIONを応援してくださってありがとうございます。(翻訳:フロ)
また、辻選手は対戦相手や観客を挑発することもありませんでした。時としてグレイ氏を挑発するシーンはありましたが、これは逆に観客からの支持を得ています。それに加え、ヘビー級の体でシューティングスタープレスやその場跳びムーンサルトなど、身軽な動きも観客に受けています。見た目のいかつさや貫禄とは裏腹に、ヒールのムーブを一切しない辻選手への支持が高くなっていることはある意味では当然なのかも知れません。
辻選手がヒールムーブを一切しない理由はよくわかりません。単にTHE LEGIONやグレイ氏を嫌っているのか、あるいは辻選手の正義の心がそもそもヒール的な動きを望んでいないのか。ただ、かねてより望んでいたメキシコ遠征が今後もし実現したならば、ルードとして覚醒するのかも知れません。辻選手がこのままベビーフェイスとしてキャリアを重ねていくのか、あるいはどこかのタイミングでヒールに目覚めるのか。今後も注目していきたいと思います。
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