週刊プロレスの表紙に賛否両論

週刊プロレスの表紙に賛否両論

7月7日発売の週刊プロレスの表紙を飾ったのはSHO選手でした。前日の7月6日に公式Twitterで表紙写真が出されて以降、このチョイスに対する賛否両論が湧き上がりました。

SHOが表紙のワケ

週刊プロレスが誰を表紙に持ってくるかはプロレスファン、プロレスラー、団体、ひいてはプロレス界そのものの関心の一つであろうと思います。現在、国内における唯一のプロレス週刊誌である週刊プロレスですが、ボランティアの機関誌ではなく、そのベースにあるのはあくまでも商売です。自論でもって高説を垂れているだけではダメなのは当然です。売り上げを伸ばすためにはコアなファンだけが喜ぶ紙面作りではなく、一人でも多くのライトなファンに新たな購読者となってもらうことが必要です。売り上げを伸ばすために最も効果的なのは、多くのファンを抱える(そしてライト層もたくさんいる)新日本プロレスのライト層にアプローチすることでしょう。まず、そうしたことが前提としてあります。

また、今回は新日本の所属レスラーが他団体に乗り込んでいくという、近年稀に見るシチュエーションでした。SHO選手が参戦するからということでGLEATに注目した、あるいはGLEATを知ったというファンも多いだろうと思います。そうした意味ではGLEATの作戦は成功したといえます。しかし、この時点ですでにストーリーとしてはSHO選手を中心に展開していました。新日本の看板を背負って他団体の旗揚げ戦に乗り込んでいくSHO選手に感情移入がしやすい状況になっていたわけです。

SHOのプレッシャー

GLEATの伊藤選手は、団体の旗揚げ戦のメインで他団体の選手を迎え撃つという非常にプレッシャーのかかるシチュエーションでした。しかし、それはSHO選手も同様です。週プロのインタビューでは次のように語っています。

いろんなものを背負ってたので、堂々と振る舞ってましたけど、対応できてたかと言われたら、できてなかったと思います。

(週刊プロレスより)

このインタビューで明らかになったのは、伊藤選手は2020年10月15日のプレ旗揚げ大会が終わって間もなくこの旗揚げ戦のメインイベントを務めることを伝えられていたということです。そして、SHO選手にオファーしたのは、UWFの原点である新日本プロレスで、伊藤選手と世代が近く、レスリング国体出場の実績もあるからとのことです。しかし、実際のオファーは直前で、SHO選手はほとんど練習ができていなかったとも語っています。それでもSHO選手は相手の土俵に上り、勝利を奪ったのです。

田村潔司GLEATエグゼクティブディレクターは、東京スポーツの取材に対し「伊藤が勝ってたら『新日本あんなもんか』という発言もできたが…。」と語っています。

www.tokyo-sports.co.jp

SHO選手は新日本プロレスというメジャー団体の看板を背負ってきていました。SHO選手個人の闘いではなく、否応なしに背後の団体を見られます。そのため、SHO選手は絶対に負けてはならない試合でした。



もしSHOが負けていたら

今回、SHO選手が勝利したことで、SHO選手の持つ主人公感とストーリーが繋がり、単独表紙となったのでしょう。では、もし伊藤選手がSHO選手に勝利していたら表紙は伊藤選手もしくはGLEATだったでしょうか?私はそれはなかったと思います。SHO選手が負けていた場合、負けたSHO選手にスポットライトを当てた写真か、あるいはスターダムの写真が採用されていたのではないでしょうか。少なくともGLEATの試合を見たファンはメインイベントの結果にかかわらずすでにGLEATの魅力がわかっています。しかし、多くのライトなプロレスファンからすると、あくまでもSHO選手が他団体に出て行って負けたという意味しか持たないのだろうと思います。この場合、負けたSHO選手のストーリーは紡げるのですが、勝った伊藤選手に何らかのストーリーを感じることのできるのは少数のコアなファンだけなのだろうと思います。商業ベースで見た場合、伊藤選手単独表紙という選択肢はほぼあり得なかったでしょう。

GLEATとしては、SHO選手を招聘することで注目度を上げ、そして団体を引っ張っていく伊藤選手がSHO選手を倒すことで知名度を上げようと目論んでいたに違いありません。新日本所属でレスリング国体出場経験があって伊藤選手と同世代という条件が明かされていましたが、その中で伊藤選手がUWFルールで勝算のある選手としてウエイトの劣るSHO選手をブッキングしたのではないかと思います。ただ、GLEATはその賭けに負けました。

ただ、今回の表紙の件でGLEATの選手の闘争心に火がついたように思います。この状態から這い上がっていくという団体としてのストーリーが生まれつつあります。ぜひこの状態から浮上して、より魅力ある団体として発展していってほしいと心から願っています。

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