新ブランドNJPW TAMASHIIはどのように展開するのか?

新ブランドNJPW TAMASHIIはどのように展開するのか?

新日本プロレスは2022年9月8日に新ブランドNJPW TAMASHIIを立ち上げることを発表しました。新日本プロレスとしては2020年8月のNJPW STRONGに次ぐ新ブランドとなります。公式発表を読み解きながら、このNJPW TAMASHIIについて考えていきます。

公式発表からNJPW TAMASHIIを読み解く

まず、NJPW TAMASHIIで公式発表された内容から確認していきます。TAMASHIIはオーストラリアとニュージーランドを舞台とするとされています。しかし、英語サイトではAustralasiaという表現が何度も出てきます。すなわち、オーストラリア、ニュージーランドおよび南太平洋諸島全体が視野に入っているのでしょう。

さらに、公式発表では次のように続けられています。

この新ブランドは、ニュージーランド、オーストラリア、そして日本からのトップ選手が参戦して熱い闘いを見せるイベントとなる。

TAMASHIIは 日本語の“魂”を意味し、新日本プロレスがアメリカで展開しているLA道場や現地のトップ選手がしのぎを削る『NJPW STRONG』の理念を受け継ぐ。(新日本プロレス公式サイトより)

この2つの文からTAMASHIIの全体像を知ることは困難です。すなわち、単発の興行をメインとした「イベント」になるのか、あるいはSTRONGのように有観客での興行をしつつ録画配信をする「番組」になるのかということです。前者であれば、2022年10月1日・2日にロンドンで開催されるRoyal Quest IIと同じようないわゆる海外興行の形態をとることになるでしょう。引用下段で『NJPW STRONG』の理念を受け継ぐとは言っているものの、あくまでも戦いの「理念」ということですので、その位置づけや放送形態は未知数です。それでも、NJPW Globalの公式Twitterでは以下のようにSTRONGと並列してTAMASHIIを位置付けているようにも見えますので、やはりSTRONGと同じように定期的な興行+配信という形になっていくものと思われます。

TAMASHIIは11月11日にニュージーランドのクライストチャーチで、さらに11月13日にはオーストラリアのシドニーで興行を開催することも併せて発表されています。両大会にはバッドラック・ファレ選手、石森太二選手、そしてKENTA選手の参戦もすでに発表されています。加えて、ニュージーランド道場のヘッドコーチであるトニー・コジナ選手は次のように語っています。

このデビュー戦に出場することになったヤングライオンたちは、皆一流の倫理を持ち、リングの内外でベストを尽くそうと努力しています。(新日本プロレス公式サイトより)

すなわち、ニュージーランド道場(ファレ道場)でトレーニングをしている3人のヤングライオン(マイケル・リチャーズ選手、ジェイク・テイラー選手、アンドリュー・ヴィラロボス選手)らが参戦するということもほぼ確定事項と考えてよいでしょう。

なお、公式発表の翌日から両大会のチケットが販売されていますが、すでに両日ともほぼ完売状態のようです。

オセアニアの団体との連携

TAMASHIIが単発のビッグマッチ開催方式ではなく、STRONGのような規模感で興行をするならば、だいたい1回の興行につき12試合程度となります。もう少し規模を小さくするとしても、1回の興行につき少なくとも6〜8試合は必要になってくるでしょう。すると、おそらく参戦選手の半数近くは現地レスラーということになるでしょう。現在のSTRONGでは、主に軸となる選手(LA道場、アメリカ版本隊、チーム・フィルシー、Stray Dog Army)と日本からのスポット参戦選手、そして興行が開催される地域をテリトリーとしている選手らの試合で構成されています。TAMASHIIでも同じような構成になることが予想されます。

TAMASHII旗揚げ興行が行われるのは、ニュージーランド道場(ファレ道場)のある北島のオークランドではなく、南島のクライストチャーチです。そして、ニュージーランド興行のポスターのスポンサー欄にはクライストチャーチを拠点とするインディー団体のUCW(Unified Championship Wrestling)のロゴが、オーストラリア興行のポスターにはPWA Black Labelのロゴが描かれています。おそらくこれら団体からリングを借りることになるのでしょう。そして同時にこれら団体を主戦場としているレスラーも参戦することになると思われます。

UCWで新日本プロレスと関連を持っているレスラーはいないように思いますが、PWA Black Labelにはロビー・イーグルス選手が以前から参戦しており、ヘビー級王者だったこともあります。また、現STRONG無差別級タッグ王者のAussie Openはこの団体のタッグ王者だったこともあります。もちろん彼らだけではなく、まだオーストラリア国内でしか試合に出たことがない若手、中堅レスラーもTAMASHIIマットに上がるチャンスを得られる可能性もあるでしょう。

現在の新日本プロレスには、ジェイ・ホワイト選手やロビー・イーグルス選手をはじめ、オセアニア出身のレスラーが多くいます。ジョナ選手をリーダーとするTMDKもオーストラリア出身の選手で結成されたユニットでした(ただし、ティト選手は除く)。しかしながら、オセアニアのローカル団体を拠点として活動している選手はほとんど知られていません。TAMASHIIではそのような無名選手の登場も期待されます。初期のSTRONGではバレット・ブラウン選手やリーガルツインズ、ジョーダン・クリアウォーター選手のような日本ではほとんど名を知られていないレスラーが登場しました。その中で定着できたレスラー、姿を消したレスラー、テリトリーによってはスポットでオファーされるレスラーと色分けはされてきました。しかし、彼らの存在がSTRONGマットを賑わしてきたのも事実です。TAMASHIIは新日本プロレスをオセアニアに定着させつつ、現地のレスラーの登竜門的な存在としても一定の役割を担うことになるのではないでしょうか。

あくまでも私が知る限りですが、オセアニアにある主な団体は以下の通りです。

WSW(World Series Wrestling)オーストラリア各地で興行を開催。7月にはアレックス・ゼイン選手、バディ・マシューズ選手、フリップ・ゴードン選手、ブライアン・ケイジ選手らも参戦。過去にはジェフ・コブ選手、ブロディ・キング選手らも参戦経験あり。

AWF(Australian Wrestling Federation)ニューサウスウェールズ州が本拠地だが他の州でも興行を開催。

PWA Black Label(Pro Wrestling Australia)ニューサウスウェールズ州で興行を開催。

IWA(International Wrestling Australia)ニューサウスウェールズ州で興行を開催。

MCW(Melbourne City Wrestling)ヴィクトリア州で興行を開催。過去にはファレ選手、オスプレイ選手、ロビー・イーグルス選手らが参戦したことも。

VPW(Venom Pro Wrestling)クイーンズランド州で興行を開催。Lions Roarに登場したオーストラリア三人衆(ティム・ヘイデン選手、セバスチャン・マタース選手、ミッチ・シューメイカー選手)の主戦場です。

IPWA(Impact Pro Wrestling Australia)クイーンズランド州で興行を開催。直近ではティム・ヘイデン選手が参戦していました。

WBPW(Wide Bay Pro Wrestling)クイーンズランド州で興行を開催。ミッチ・シューメイカー選手(この団体ではミッチ・ライダー)がベルトを持っているようです。

PWL(Pro Wrestling League)クイーンズランド州で興行を開催。ティム・ヘイデン選手が参戦経験あり。

WR(Wrestle Rampage)南オーストラリア州で興行を開催。ティム・ヘイデン選手が参戦経験あり。

EPW(Explosive Pro Wrestling)西オーストラリア州で興行を開催。マイキー・ニコルス選手とシェイン・ヘイスト選手のタッグのベルトを持っていたこともあります。この団体でのニコルス&ヘイストのチームが元祖TMDKです。

IPW(Impact Pro Wrestling)主にニュージーランドのオークランド(北島)で興行を開催。アメリカのIMPACTとは無関係。

SPW(Southern Pro Wrestling)主にニュージーランドのインバーカーギル(南島)で興行を開催。アーロン・ヘナーレ選手が参戦したこともあります。

Lions Roarに登場した選手の参戦は?

ファレ道場トライアウトを追ったLions Roarには多くのレスラーが登場していました。

Lions Roarの参加選手の横顔

Lions Roarに登場したレスラーがTAMASHIIに登場するかどうかという点にも注目です。この中で新日本との契約を勝ち取った3人(マイケル・リチャーズ選手、ジェイク・テイラー選手、アンドリュー・ヴィラロボス選手)は上述の通り参戦がほぼ確定です。それ以外の選手でほぼ確実に登場するだろうと思われるのがロイド・モーガン選手です。ただ、レスラーとしてではなく、レフェリーとしてです。ロイド・モーガン選手は過去の新日本のオーストラリア興行の際にもレフェリーとして登場しています。ロイド・モーガン選手はLions Roarのトライアウト終了後もファレ道場との関係を維持しており、ファレ道場が5月に開催したショーケースにもレフェリーとして登場しています。こうした理由から、今回もおそらくレフェリーとしてリングに上がることになるのではないでしょうか。

それ以外のレスラーでは、リッチことリチャード・ムル選手、イーライ・タイトー選手が登場する可能性もあります。リッチ選手はトレーニングを続けていれば契約を検討されていたということですが、この時は現職を続けることを選んだようです。ただ、その後もファレ道場でのトレーニングを続けていることから、本格的にデビューすることになるかも知れません。イーライ・タイトー選手もLions Roarの収録後も引き続きファレ道場でのトレーニングを続けており、5月のショーケースにも登場していました。リッチ選手同様に可能性はゼロではありません。

また、オーストラリア三人衆はいずれTAMASHIIに参戦する可能性が高いでしょう。彼らはクイーンズランド州を主戦場としています。今回のようにニュージーランドやニューサウスウエールズ州といった別のテリトリーの興行でオファーを受けたとすれば、彼らに対する新日本ならびにファレ選手の評価は(契約するには至らないまでも)高かったということでしょう。逆に、クイーンズランド州での興行の際にもオファーを受けなかったとすると、彼らの評価は低かったと言えます。

おそらく可能性のある選手はこの辺りまででしょう。場合によってはAJヴィサージ選手がトレーナーなどの裏方としてTAMASHIIと関わる可能性もあるかも知れませんが。Lions Roarをまだご覧になっていない方はぜひこの機会にご視聴なさることをお勧めします。マイケル・リチャーズ選手への思い入れが違ってきます。

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