上村優也は鈴木みのるになれるか

上村優也は鈴木みのるになれるか

上村優也試練の五番勝負が始まりました。2020年2月20日、上村選手が鈴木選手に対して仕掛けた奇襲攻撃に端を発するファンそして上村選手待望のシングルマッチがいよいよ実現しました。

上村の成長

上村選手はリングに上がると、リング中央で真っ直ぐに鈴木選手の登場する花道に目をやります。その表情は感慨深くも見えましたが、鈴木選手がリングに上がると完全にファイターの目になりました。上村選手はあの日と同じように鈴木選手に奇襲を仕掛けていくのかと思いましたが、努めて冷静さを保とうとしていたのか、むしろ鈴木選手の方が感情的になっている様子も伺えました。

上村選手の動きを見ていると、要所要所で上村選手の背中に鈴木選手の影が見えます。かつて上村選手は辻選手との対談で、鈴木選手のようなオールドスタイルな闘い方、レスリングを基盤とした闘いが好きだと語っていました。片膝をついて相手のバックを取ろうとする動きやリストを取る動きなど、鈴木選手のそれにそっくりです。上村選手は鈴木選手の動きを研究し、自らのレスリングに取り入れているのかもしれません。

両者のリストの取り合いや腕の取り合いなど、上村選手の成長の証が見えます。上村選手からしても、鈴木選手に舐められたくない、鈴木選手に一泡吹かせたいという思いが彼の背中を押したのでしょう。しかし、それに加えて、心の師匠であり目標としているだろう鈴木選手に対して自らの成長を見せつけること、そして自分の存在を認めさせることが上村選手自身のこの試合に当たっての目標だったのかもしれません。

鈴木の本領

鈴木軍のボスとしての鈴木選手は、椅子や鉄柵などを使った反則攻撃を見せることもあります。しかしこの試合では、そうした反則行為は目立ちませんでした(ロープを使ったアームバーはありましたが)。鈴木選手のレスリングのうまさ、強さは誰もが認めるところでしょう。場外で強力なアームロックを極めるなど、恐い鈴木みのるを上村選手に見せつけます。そしてリング上では上村選手を試すような攻撃を繰り広げます。複合関節技を繰り返す姿は、お前、これをどうやって切り抜けるんだい?という互いの肉体を通じての対話だったようにも見えました。その鈴木選手の姿は道場の鬼コーチのようでした。そこには鈴木選手なりの上村選手に対する愛があったのかもしれません。所属ユニットを超えた繋がりを感じる試合でした。



試合を終えて

勝負が決すると、鈴木選手はそそくさとリングを下り、倒れている上村選手に目をやります。そして、リングに這いつくばっている上村選手は鈴木選手に向かってにじり寄ります。鈴木選手は再びリング上に戻り、上村選手を追撃します。まだ顔じゃねぇんだよ!という意思表示なのか、それとも愛のある激励なのかはわかりません。おそらく、解説のライガーさんが言っていたように、お前、こんなもんじゃねぇだろ!まだまだやれるだろ!なんだその不甲斐なさは!という気持ちの現れだったのでしょう。

上村選手はバックステージで鈴木選手に対し「強いままでいろ」と語っています。鈴木選手ももう52歳です。まだまだ気力も体力も充実している鈴木選手ですが、気持ちに身体がついてこなくなる時期が来るでしょう。そうなった場合、鈴木選手の性格からするとスパッと引退してしまう可能性も高いように思います。これからのプロレス界を支えていくであろう上村選手からの鈴木選手に対するエールだったのかもしれません。

近い将来、トップレスラーとなった上村選手が鈴木選手と再戦する可能性も高いでしょう。上村選手がオールドスタイルのレスリングで鈴木選手をマットに沈め、リングに倒れる鈴木選手に対して上村選手が座礼をしてリングを下りる、そんなシーンが見られるかもしれません。鈴木選手がライガーさんに対してやったように。

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