ヤングライオンシステムの功罪

ヤングライオンシステムの功罪

KIZUNA ROAD 2021も終盤に差し掛かり、その後にSUMMER STRUGGLEシリーズが待っています。このKIZUNA ROAD 2021の一つの見どころとしては、ヤングライオンである辻選手と上村選手が上位選手とシングルマッチで闘う、ヤングライオン試練の五番勝負でした。しかし、ファンの間には、いつまでヤングライオンをやらせているのかという疑問の声も上がっているのも事実です。そこで、改めてヤングライオンについて考えてみました。

 タイムトラベルアーカイブ

テレビ朝日の番組「新日ちゃん。」に「タイムトラベルアーカイブ」といいうコーナーがあります。これは、その日のゲスト選手の最も古い映像を流すというものなのですが、ワールドに収録されていないものがほとんどなので非常に楽しいコーナーとなっています。そして現在、そのコーナーで紹介された3試合がワールドで視聴できるようになっています。

90年代のヤングライオンと現在のヤングライオンでは、露出度に格段の差があります。当時は週に1回のテレビ放送だけで、そこにヤングライオンの試合が放映されることはほとんどありませんでした。そのため、会場に来ている観客のほとんどは山本(天山)選手や金本選手、吉江選手など、ヤングライオンの選手じたいがほぼ初見で、思い入れもストーリーも全くない状態での第1試合です。これを限られた技やムーブの中で会場を温めていくというのが一つのミッションです。間違っても丸め込みで秒殺などはできないでしょう。


新旧ヤングライオン

90年代のヤングライオンはかなり熱心なファン以外にはほとんど知られていなかったといっていいでしょう。また、現在のように熱心なファンがグッズ片手に来場しているのではなく、スーツ姿で腕を組んでどっかりと座っている、あたかも接待で来たような感じの観客も多い当時の会場を盛り上げるのは至難の業だったでしょう。特に吉江 vs 真壁の前半は会場がシーンと静まり返っています。それが2人の攻防で少しずつ盛り上がってくる様子がわかります。派手な技はありませんが、2人の気持ちのこもった攻防で会場から大きな拍手がわきおこります。まさに、こういうじっくりとした、それでいて気持ちの入った動きを実戦を通じて身につけていくのがヤングライオンとしての、いや、プロレスラーとしての成長につながってくるのでしょう。

そして現在は辻選手、上村選手、そして欠場中ですが中島選手という3人のヤングライオンがいます。辻選手と上村選手はデビューから3年2ヶ月、それぞれ27歳と26歳です。もちろん年齢は入門時期にもよりますので、社会人を経験した辻選手と高卒で入門したマスター・ワト選手、中卒で登龍門に入門したオカダ選手とでは、同じ年齢での実績を比べること自体があまり意味を持ちません(辻選手は、社会人を経験したことに後悔はないが他の選手の年齢と実績とを比較したときにジェラシーを感じるようですが)。なんならYOSHI-HASHI選手はデビューしたのが26歳の時でした。確かに、辻選手、上村選手はデビューから3年以上経っており、長いヤングライオン生活を送っています。その理由としては、下のヤングライオンがいないということが大きいでしょう。同時に、海外遠征ができない情勢ということもあります。それでも、彼らにとってこの経験は無駄にならないと思います。プロレスはそれぞれの選手間でのストーリーがあります。彼らが上位戦線に加わっていった時、これまでに蒔いた種が次々と線でつながり、壮大なストーリーとなっていることでしょう。

他団体ではデビュー1年程度でメインイベントに出たり、ベルトに挑戦したりするケースもあるようです。それでも、私は新日本のヤングライオン制度は貴重な財産だと思っていますし、これからも続けていってもらいたいと考えています。でも、この辺りはファンの間でも賛否両論あるでしょうね。

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