ワトと上村のライバルストーリー

ワトと上村のライバルストーリー

2021年7月10日SUMMER STRUGGLE 北海道真駒内セキスイハイムアリーナ大会の当日、飯伏選手がワクチン接種の副反応と見られる症状のため急遽欠場することが発表されました。飯伏選手の欠場は残念ですし、副反応とはいえど心配なことには違いないのですが、その副産物として組まれたのがマスターワト vs 上村優也というカードです。

年下の先輩

上村選手はKIZUNA ROAD 2021では6人の上位レスラーとシングルマッチを闘ってきました。順に、鈴木選手、ザック選手、棚橋選手、タイチ選手、飯伏選手、鷹木選手と、全てヘビー級の第一線にいる選手です。上村選手も全力でぶつかっていったに違いありませんが、その壁の高さを痛感したことと思います。

しかしこの日の対戦相手はこれまでの相手と大きく違います。対戦相手のワト選手は現在の上村選手と同じジュニアヘビー級の選手です。180センチ90キロの上村選手に対し、ワト選手は177センチ87キロと、むしろ上村選手の方が体格的に優位にあります。そして、ワト選手はヤングライオンを卒業し、海外遠征を経て凱旋帰国してからちょうど1年になる、まだまだ成長過程にある選手です。また、26歳の上村選手に対し、ワト選手は24歳、年下の先輩になります。高校を卒業してすぐに入門した2つ学年が下のワト選手が、大学卒業後に入門した上村選手の先を走っている状態です。なんとかしてその尻尾を捕まえたい、ひょっとしたら尻尾を捕まえて追い抜くことができるかも知れない、そうした可能性が秘められた一戦でした。

一方のワト選手も凱旋帰国後にこれと言った大きな勲章を得ていません。神宮球場で金丸選手とのシングルマッチを闘ったり、田口監督とのタッグでIWGPジュニアタッグに挑戦したこともありましたが、いずれも敗退しています。つまり、ワト選手も足踏みをしている状態にあります。ワト選手としたら絶対に負けられない相手です。例えば棚橋選手が一瞬の丸め込みで上村選手に負けていたとしても、「ちょっと油断しちゃったな。あいつの身のこなしは大したもんだよ」と苦笑いをして済ますことができそうですが、ワト選手が上村選手に敗れたとしてもそんなことを言っている余裕は一切ありません。ワト選手としては絶対的な差を見せつける理由がありました。




ワトの全力

試合はワト選手が9分9秒、RPPからフォールを奪いました。前シリーズで上村選手が上位選手と行なってきたシングルマッチと比べると、試合時間は最短です。鈴木選手から鷹木選手まで、全ての選手と10分以上の試合をしてきましたが、今回は9分でした。また、自らのフィニッシュホールドを仕掛けたのはワト選手だけで、他の選手は逆方エビ固め(鈴木選手)、セレクテッド・テクニカル・ワークス2004-2013(ザック選手)など、普段はフィニッシュに用いない技で勝負を決めてきました。唯一棚橋選手はテキサスクローバーホールドでギブアップを奪いましたが、それでも絶対的なフィニッシュであるハイフライフローではありませんでした。

それほどまでにワト選手はこの試合に勝たなければならないというプレッシャーがあったのでしょう。そして、ワト選手は後輩の上村選手に強さを見せつけることができたと思います。上村選手がジュニアで上を目指すならば避けては通れないのがワト選手です。この二人はこれからも戦い続けていくでしょう。あるいはIWGPジュニアタッグのベルトを狙いにいく可能性もあります。タッグを組むとしても、対角線に立つにしても、彼らのライバルストーリーはまだまだ始まったばかりです。二人の再戦が楽しみです。

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