四代目IWGPヘビー級ベルトを要求したオカダの意図は?

四代目IWGPヘビー級ベルトを要求したオカダの意図は?

G1 CLIMAX31優勝決定戦は飯伏選手の試合中の怪我によるレフェリーストップという形でオカダ選手の優勝が決まりました。この結末は誰も予想していないものでしたが、試合後のオカダ選手の口から出た言葉もまた誰も予想しないものでした。

飯伏のアクシデント

優勝決定戦となった飯伏幸太 vs オカダ・カズチカというカードは昨年のG1以来の顔合わせとなりました。この試合以前の対戦成績は、飯伏選手のタイガーマスクW時代も含めるとオカダ選手の4勝2敗でした。しかし、飯伏選手がヘビー級に参戦してからの対戦成績に限るとオカダ選手の1勝2敗と、飯伏選手の方が勝ち越しています。復活したレインメーカーが7年ぶりの優勝を飾るのか、飯伏選手が前人未到の三連覇を果たすのかという注目の一戦でした。

この試合、長期戦になりそうな予感がしてきた時間帯に飯伏選手がフェニックススプラッシュを狙いましたが、オカダ選手にかわされてしまいました。この時、画面越しにも飯伏選手が変な体勢で、しかもものすごい勢いでリングにぶつかったのがわかりました。解説席にいたミラノさんも「顔!顔!」と叫ぶほどの衝撃でした。そして飯伏選手が落下した体勢のまま起き上がることができず、試合はそのままレフェリーストップという形で幕を閉じました。

試合の勝利と7年ぶり3回目のG1優勝が決まったオカダ選手ですが、その表情から不完全燃焼ということがありありとわかります。確かにこんな形で試合が決するのは、飯伏選手としてはもちろん、オカダ選手としても悔しいでしょう。オカダ選手はうずくまる飯伏選手を気遣い、硬い表情のまま勝ち名乗りを受けました。そして、マイクを持ったオカダ選手から驚きの発言がありました。

オカダからの要求

リング上でオカダ選手はこのように語りました。

あと、G1チャンピオンとして、新日本プロレスに、ひとつお願いさせて下さい。飯伏幸太と、またやらせて下さい。その飯伏幸太を待つ証として、4代目IWGPヘビーを俺に下さい。別にチャンピオンじゃないですよ。IWGPヘビーを、飯伏幸太を待つ証として、俺に預けて下さい。

新日本プロレス公式サイトより

この発言はIWGP世界ヘビー級王者の鷹木選手に挑戦させろという意味とも捉えられますが、オカダ選手が「IWGPヘビー」と表現していることに注目です。解説のミラノさんはこれに気づき、封印された4代目IWGPヘビー級のベルトそのものだと理解し、ゲスト解説の鷹木選手自らの持つIWGP世界ヘビー級王座と理解したことで、解説席での会話が噛み合わない事態となりました。そしてバックステージにて、オカダ選手のこの発言の真意が判ることとなります。

4代目ベルトが2つあったのを、一つにしたのは飯伏さんですから。別にIWGPヘビー級チャンピオンだと名乗るつもりもないですし、その証として、僕がそれを持ってて、またそれを飯伏さんを待つという意味で僕が持つということはいいことじゃないかと思いますし、G1 CLIMAXのチャンピオンですから。

新日本プロレス公式サイトより

初期のG1 CLIMAX覇者は、優勝そのものがまさに勲章というような位置付けだったように思います。しかし、G1覇者にIWGP挑戦権利書が授与されるようになってからはその価値が相対的に下がった感は否めませんでした。東京ドームの舞台が用意されているとはいえ、それは4ヶ月も後のことです。その間に権利書防衛戦をこなさなくてはなりません。G1の予選ブロックで王者に勝利した選手はこの間にIWGP挑戦のチャンスが回ってくることが多いですし、G1覇者は権利書の防衛に失敗すればそもそもIWGPへの挑戦すら叶わなくなります。興行的にはプラスであっても、選手の立場からよくよく考えれば理不尽だと言っても良いでしょう。

今回、オカダ選手には挑戦権利書が渡されませんでした。いや、そもそもアタッシュケースが用意されていませんでした。東京ドームまでの期間が短いという理由もあるでしょうが、それでも去年は権利書が授与されました。オカダ選手はその代わりにIWGPヘビーのベルトそのものを要求したわけです。この要求がもし通ることになれば、オカダ選手はチャンピオンではないがベルトを持って登場することになります。まるで今のオスプレイ選手のようです。ただ、オカダ選手が考えていることはこれを持って防衛ロードを歩むといったことではなさそうです。

オカダ選手はIWGPヘビーのベルトを「飯伏さんを待つ証として」と表現しています。つまり、G1覇者の証としてIWGPヘビーのベルトを手にし、復帰する飯伏選手と戦いたいという意味でしょう。ただ、オカダ選手のコメントからは、飯伏選手とIWGPヘビーのベルトを賭けて戦いたいということは見えてきません。仮にベルトを授与されたとしても、これを防衛していくということは考えていないものと思われます。

いや、オカダ選手の考える防衛戦は存在すると思います。それはG1 CLIMAX32です。おそらくオカダ選手が目指すのは、G1覇者のアイコン化です。G1覇者がベルトを1年間持ち続けることで、G1覇者にこれまで以上の価値を与えようとしているのではないでしょうか。そして次回のG1開幕前にこれを返上するという儀式を加えるのです。そうすることで、G1の見どころの一つに前回覇者を倒せるのかということも加わります。前回覇者と現IWGP世界ヘビー級王者を別ブロックにすることで、それぞれのブロックの主役を明確にできます。

世界で最も厳しいシリーズとも言われるG1 CLIMAXの覇者に相応しい称号を与え、1年間の興行の中心に据えることで、新たな盛り上がりを生むこともできそうです。オカダ選手の今後の発言、そして新日本プロレスの判断に注目です。

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