3本のIWGPのベルトの行方はどうなる?

3本のIWGPのベルトの行方はどうなる?

11月8日の会見では内藤選手の復帰が発表されました。また、同時に配信となったもう1つの会見では、鷹木選手とオカダ選手の会見が行われまいた。やはりここでも問題となったのはIWGPのベルトでした。

偽IWGPベルトに対する反応

現在のIWGP世界ヘビー級チャンピオンはもちろん鷹木選手です。しかし、8.14のRESURGENCEに登場したオスプレイ選手がIWGP世界ヘビー級のベルトを手にリングに登場し、真・IWGP世界ヘビー級王者であることを主張したことから2本のIWGPベルト問題が始まりました。そしてオスプレイ選手はこれまで10.16のAUTUMN ATTACKでカール・フレドリックス選手を、10.12のOTTダブリン大会でスコッティ・デイビス選手を相手にこのベルトを「防衛」しています。ただし、どちらの試合もIWGP世界ヘビー級選手権試合というアナウンスはされていませんでした。しかし、オスプレイ選手はいつものように偽ベルトを手に登場し、試合前にベルトを強引にレフェリーに掲げさせ、あたかもこの試合がタイトルマッチであるかのような演出をさせました。

そもそもフレドリックス選手との一戦が組まれたきっかけは9月18日に配信されたNJPW STRONGでの試合後、次のようなアピールをしたことでした。

フレドリックス「ウィル・オスプレイ、何から始めようか? お前のギミックが新しくなってからすごく不愉快だ。お前を見れば見るほど、お前の行動、発言、振る舞い、すべてを不愉快に感じる。昔のオスプレイはあんなじゃなかったのにな。あいつも変わってしまった。お前たち(観客)もそう思うか? 観客と俺が唯一違うことは、観客はオスプレイを殴りたいと思ってもできないが、俺にはそれができることだ。お前はLA DOJOが本物のレスラーを生み出してきたから、俺たちの話をしたいんだろ? 俺はここロサンゼルスのこのリングで、本物のレスラーに3年間鍛え上げられてきたんだ。俺はお前の知っている数年前のヤングボーイなんかじゃない。いまの俺は本物のレスラーだ。だから賭けてみるのはどうだ? お前はいつでもどこでも“そのベルト”を防衛すると言っていたが、『NJPW STRONG』は俺の番組なんだよ。だから、ここでハッキリさせておく。俺こそが“そのベルト”の第一挑戦者だ。お前がいつ“そのベルト”を落とそうが、俺が代わりに防衛していく。ここで約束する。お前をブチのめしてやるよ」(新日本プロレス公式サイトより)

ここで注目すべきは、フレドリックス選手がはっきりと「俺こそが”そのベルト”の第一挑戦者だ。」「俺が代わりに防衛していく。」と語っている点です。ベルトそのものが偽物であれ、フレドリックス選手はそのベルトに一定の価値を見出している点です。

そして2回目の「防衛戦」が組まれたきっかけは10月9日のOTTダブリン大会でした。この日の試合は以前にこのブログでも取り上げました。

【OTT】辻&海野&スコッティ vs オスプレイ&オージーオープン詳報 – プロレス生活

試合後、コーナーにいたスコッティ選手にオスプレイ選手が近づき、自らの偽ベルトとスコッティ選手を指差し、”You, next.”と言ったことで、10月20日のダブリン大会での「防衛戦」が決定したわけです。この時、スコッティ選手は直接アピールしてはいないものの、オスプレイ選手の偽ベルトにしっかりと視線をやっていました。また、「タイトルマッチ」の際にはリングアナウンサーがタイトルマッチのコールを行い、レフェリーがベルトを挑戦者であるスコッティ選手にも示していました。スコッティ選手の偽ベルトについてのコメントは取得できていません。しかし、レフェリーに対して頷いていたことから、スコッティ選手も「タイトルマッチ」として認識し、戦っていたことかと思います。

そして現時点では3回目の「防衛戦」になるのかどうかは分かりませんが、11.13の新日本アメリカ大会BATTLE IN THE VALLEYにてオスプレイ vs 成田という試合が組まれています。これは11月7日配信のNJPW STRONGで、試合後にリング上で成田選手がオスプレイ選手に対して対戦をアピールしたことがきっかけとなっています。

成田「オイ、オスプレイ! 俺はな、そのベルトには興味ねぇんだ。その偽物のベルトには興味ねぇんだよ。俺が欲しいのはな! お前からの勝利だ。これだけだ!! LA DOJOナメんなよ!!」(新日本プロレス公式サイトより)

成田選手の姿勢はこれまでの「防衛戦」の相手、とりわけフレドリックス選手とは大きく異なります。すなわち、ベルトに対しては関心を示してない点です。加えて成田選手はキッパリと「偽物のベルト」と言い切っています。成田選手が関心を示しているのはただオスプレイ選手の首です。成田選手がオスプレイ選手に勝利した場合、成田選手はこのベルトを奪って封印してしまうのか、あるいは勝利したとしてもベルトに触れすらしないのかに注目です。オスプレイ選手が勝利した場合はおそらくこのベルトを手にしたまま東京ドームに乗り込んでくるものと思われます。

IWGPヘビー級ベルトに対する反応

オカダ選手がG1覇者として、そしてIWGP世界ヘビー級王座挑戦権利書として、さらには飯伏選手を待つ証として4代目IWGPヘビー級のベルトを要求し、それが実現しました。IWGP世界ヘビー級王者の鷹木選手はこれに対して明らかに不満な様子です。例えば10.24後楽園ホール大会のバックステージでは次のようなコメントを残しています。

鷹木「それにしてもオイ! 新日本プロレス! 最近どうかしてんじゃねぇか? 海外だけじゃなく、ここでも、違うIWGPのベルトが出て来てんじゃねぇか。まぁでも、オスプレイに対しても、オカダに対しても、会社からは何のおとがめもナシだろう? そりゃぁそうだよなぁ! しょせんオレたちはプロレスラーだ。リング上は弱肉強食。勝者が正義で、勝者が歴史を作る。だったら、単純なことだ。勝ち抜けばいいんだろ? IWGP世界ヘビー級の王者として、自分でまいた種でもある。しっかりオレが、ケジメつけるよ」(新日本プロレス公式サイトより)

それに対し、10.26後楽園ホール大会のバックステージにて、ザック・セイバーJr.選手は次のようなコメントを残していました。

あともうひとつ……オレに負けても言い訳はするなよ。違うIWGPのベルトを持ってるオスプレイとオカダのことでイライラしてるようだが、いいかあいつらはただのバカだ。あいつらはチャンピオンなんかじゃない。チャンピオンはおまえだよ。あと2週間くらいの限定のな。だからあいつらなんかに構うな! おまえを倒す相手はあいつらじゃない、このザック・セイバーJr.だ! そしてオレが3連戦の『WRESLTE KINGDOM』であいつらの持ってるベルトもまとめて全部ひとつに統一してやるから。全部オレに任せとけ。じゃーな」(新日本プロレス公式サイトより)

ザック選手は鷹木選手が持っているベルトが唯一の真のベルトであり、他のベルトには全く価値を見出していません。ザック選手は鷹木選手に勝利して最強の称号を手にした上で、偽物のベルトを持っているオカダ選手、オスプレイ選手を迎え撃つという姿勢だったと言えるでしょう。

そして鷹木選手は11月8日の会見で次のように語りました。

で、オカダに関しては、さっきから『G1』覇者って言うけど、『G1』のチャンピオンにプライドがあるんだったら、『なんで4代目のIWGPを持ってきてるのかな』と。そこには俺も理解ができない部分があるんだけど、『G1』覇者にプライドがあるんだったら、誇りがあるんだったら、『G1のトロフィーで良かったんじゃないの?』って俺は思うけど、これに関してはハッキリ言って新日本も悪いよ。封印して新設したのがこの(IWGP世界ヘビー)ベルトなのに、言ったもん勝ち、やったもん勝ち、インターネットの写真見ても普通に4代目のベルトが出てるし、そんなやったもん勝ちだったら『こっちもやってやろう』っていう気持ちになったし。(新日本プロレス公式サイトより)

オカダ選手がIWGPヘビーのベルトを手にしていることについて、オカダ選手に対して、そして新日本プロレスに対して疑問を呈しています。これについては内藤選手も同じ感情を持っていることが東京スポーツのインタビューから明らかになっています。

要求からわずか2日後にオカダにベルトが渡った事実も見過ごせない。「一番問題なのは『検討します』って言って即OKした新日本ですよ。検討した結果、どうだったのかの説明を聞いてみたい」と指摘する。

しかも米国で自作ベルトを持ち歩くウィル・オスプレイに対する団体からの見解も示されておらず、チャンピオンベルトの権威は揺らぐばかり。「あれは間違いなく没収されるべきなんじゃないの? 今からでもいいから、3つのベルトに対する見解を示してもらいたい。所属選手の俺でさえよく分かってないんで、見てるお客さまにはもっと伝わってないよ」と一刀両断した。(東京スポーツより)

【新日本】内藤哲也は〝ベルト問題〟招いた団体に不信感「お客さまに3本の見解示すべき」-東スポweb

そしてオカダ選手から指名された格好の飯伏選手は別の考えを持っているようです。

飯伏 いや、ピンと来る、逆に言えば。なぜ飯伏幸太なのかっていうのもなんとなく。自分がIWGP世界ヘビーを新設したから。初代王者を倒したらIWGPヘビーが復活できるんじゃないかって(オカダが思っているのではないかと)、直感だけど思ってしまう。どうしてもそれは。(東スポwebより)

【新日本】飯伏幸太が激白「G1優勝決定戦衝撃決着」の裏側と復帰への思い – 東スポweb

さらに、プレミアムポッドキャスト「飯伏幸太の世界」では、オカダ選手がIWGP世界ヘビー級ベルトを獲った暁には、IWGPヘビー級ベルトを持ったままでIWGP世界ヘビー級ベルトを封印するのでは、あるいはそれとは逆に、IWGP世界ヘビー級ベルトを巻いた上で、改めてIWGPヘビー級ベルトを封印するのではという考えを持っているようです。しかし、飯伏選手にはオカダ選手の行動に対して憤慨している様子はなく、むしろこの状況を楽しんでいるような雰囲気さえ感じられました。決して好意的な反応というわけではありません。しかし、この状況に対してニュートラルな反応を示している数少ない選手と言えるでしょう。

3本のIWGPベルトの意味と東京ドーム以後

これまで当ブログでもオスプレイ選手の偽ベルトについては何度か記事にしてきました。オスプレイ選手はしばらく来日の予定がありませんでしたので、実は偽ベルトはアメリカでの有観客興行を盛り上げるために新日本プロレスがオスプレイ選手に託したものなのではないか、そして満を辞して東京ドームで「統一戦」を行うのではないかと推測していました。

オスプレイが狙うのは王者同士の統一戦か?- プロレス生活

実際にオスプレイ選手が偽ベルトを持って登場すると、それに対する賛否も含めて注目を集めます。そして日本にいる真のチャンピオンである鷹木選手との対立構造を両者が遭遇しないままに構築することができます。2つのストーリーが東京ドームで重ねていくという戦略なのかもしれません。また、オカダ選手のベルトについてはG1 CLIMAX覇者の証として来年のG1までこれを持ち歩くのではないかと推測しました。この推測が正しかったのか間違っていたのかはまだ分かりませんが、オカダ選手はこのベルトに対していろいろな意味づけをしているようにも思います。

四代目IWGPヘビー級ベルトを要求したオカダの意図は?- プロレス生活

いずれにせよ、WRESTLE KINGDOM東京ドーム2連戦及び横浜アリーナ大会でこれらのベルト問題にとりあえずの決着がつくことでしょう。しかし、東京ドーム2連戦および横浜アリーナまでが1つのパッケージとして来年度以降も続く可能性が高いです。ビッグマッチ3連戦に向けて毎年のように大きな話題作りをしていく必要があります。オスプレイ選手が鷹木選手は「IWGP日本王者」だと揶揄していたことがありました。そしてアメリカやアイルランドで防衛戦を重ねている自分こそが「IWGP世界王者」だと主張しました。そして、4.4両国国技館大会で飯伏選手に勝利して第二代IWGP世界ヘビー級王者となったオスプレイ選手が一夜明け会見で興味深事を語っていました。

ここでオスプレイ選手は自らの持っているブリティッシュヘビー級王座について、「またこのベルトを”IWGPブリティッシュヘビー級王座”という新たなブランドに変えるのはどうだろうか」と語っています。このオスプレイ選手の一連の発言を総合すると、まさに猪木さんが提唱したIWGP構想に辿り着きます。

すなわち、IWGP USヘビー級王者はアメリカ地区の、IWGPブリティッシュヘビー級王者はイギリス(ヨーロッパ)地区の、そしてIWGP日本ヘビー級王者は日本地区のチャンピオンであり、さらにその上にIWGP世界ヘビー級王者が君臨するという形です。この考えだと地区王者はそれぞれの地区で防衛戦を行い、世界王者は世界をまたにかけて防衛戦を行っていくことになります。そして東京ドームでそれぞれのローカル王者が世界王者への挑戦権を賭けて戦い、3連戦の最終日に勝ち抜いたローカル王者が世界王者に挑戦するという形できれいにおさまります。

そして鷹木選手が会見において自分がオカダ選手に勝利したらIWGPヘビーのベルトは猪木さんに返還するという考えを表明していました。2022年は新日本プロレス設立50周年、そしてそこに猪木さんの名前が出てくるのはただの偶然でしょうか。私の妄想も随分と入っていますが、団体設立50年目にしてIWGP構想が完成するのかも知れません。東京ドームでベルトをめぐるストーリーが完結するのでしょうか、それともさらに発展していくのでしょうか。注目していきたいと思います。

 

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