キャッチレスリングルールマッチはどう発展していくか

キャッチレスリングルールマッチはどう発展していくか

1.4WRESTLE KINGDOM東京ドーム大会での注目試合の1つは柴田勝頼選手の復帰戦といっても過言ではないでしょう。この試合に適用されるキャッチレスリングルールというものがどういうものなのか、今後どのような展開を見せていくのかを考えてみました。

キャッチレスリングルールとは

柴田選手は10.21日本武道館大会でザック選手とのエキシビジョンマッチとしてグラップリングルールでの試合をしています。今回、キャッチレスリングルールというように名称が変更された理由は柴田選手の口から説明されています。

柴田選手によると、グラップリングルールというものは打撃なしの格闘技としてすでにルールが存在しているということで、それとは差別化するという目的からとのことです。すなわち、これは格闘技ではなく、あくまでもプロレスという枠内で行われる試合であるということです。

具体的なルールの詳細については発表されていませんが、公式サイトや柴田選手の言葉によるとおおよそ以下のようになるようです。

  • サブミッションホールド、投げ技が使用可能。
  • ピンフォール、リングアウト、反則裁定でも試合決着。
  • ロープに走ることは可。
  • 打撃技(パンチ、チョップ、キックなど)は使用禁止。

次の点については明確ではありません。

  • ロープエスケープの制限は?→ 発表がないのでおそらく無制限に可能と思われます。
  • ダウンした場合は?→ ポイント制のルールではないため、フリーダウン制だと思われます。
  • 反則を繰り出した際の裁定で、例えば反射的にキックを出してしまった場合に即反則負けになってしまうのか、それとも5カウント以内ならば可能なのか?→ 5カウント以内ならば可能ということはないでしょうが、ポイント制のルールでない限りこの対応が難しそう。1回目で警告、2回目で失格などのルール化は必要になってくるかも。

柴田選手によると、まだキャッチレスリングルールというのは始まったばかりなので、今後試合時間やルールなどの変更があるかもしれないとのことですので、この辺りは実際に試合をしていきながら修正していくものと思われます。

他団体における類似の試合形式

通常のプロレスとは異なるルールで行う試合は、他団体でも一部で導入されています。代表的なのがハードヒットでしょう。オフィシャルルールではおおよそ次のようになっているようです。

  • 3ポイントもしくは5ポイントのロストポイント制。
  • ダウン、ロープエスケープ。
  • 反則(四点ポジションの相手に対する頭部への打撃、故意の場外エスケープや相手を場外へ落とす行為、タッグマッチでの試合権のない選手の介入)2回で減点1ポイント。
  • ニーパッド、レガースを着用。これらを着用しない場合はその部位を使用した攻撃が不可。

GLEATのLIDET UWFルールもほぼこれに準じています。上記のルールから打撃を排除したのがハードヒットのグラップリングマッチのルールとなるようです。そしてROHのピュアレスリングルールはこれらと少し異なっています。

  • ピンフォール、ギブアップ、ノックアウトで試合が決する。
  • ロープブレイクは3回。
  • ロープブレイクを使い切った場合、それ以降のロープブレイクが無効になる。
  • 顔面へのパンチは禁止。平手打ちやチョップは可能。
  • 顔面とローブロー以外へのパンチは可能。
  • 20ダウンカウントでノックアウト。

こうして並べてみると、キャッチレスリングルールは他団体の特別ルールと比べてもかなり特徴的であることがわかります。全く新しいものを作り上げていくというチャレンジングな試みと言ってよいでしょう。

将来的な展開

2021年の新日本プロレスでは、矢野通 vs グレート-O-カーンのKOPW戦がアマチュアレスリングルールで行われました。この時はロープに触れた場合にレスリングの場外扱いということで相手にポイントが加算されました。リングの形状が異なるということで完全なレスリングルールではなく、新日本特別ルールだったといってもよいでしょう。この試合は両選手のルーツを感じさせる展開で、見せ場も多く非常に盛り上がりました。この時、新日本プロレスはこのような試合でも会場のファンを沸かせることができるという手応えを感じたのかもしれません。あるいは、キャッチレスリングルールというものをすでに念頭に置いた形でのテストマッチの意味合いもあったのかもしれません。

ただ、この時のように純粋なレスリングルールに近い形であれば対応できる選手が限定されます。しかしながら、よりプロレスに近い、さらに言えば道場でのトレーニングに近い形式のルールであればほとんどの選手がこれに対応できるでしょう。おそらくキャッチレスリングルールは腕の取り合い、足の取り合い、押さえ込みという道場での純粋なトレーニングの延長線上にあるものだと思われます。プロレスラーは観客に対して自分をいかに魅せるかということが非常に大事です。しかしその根幹にあるのが強さと技術です。キャッチレスリングルールではそうした強さと技術を観客に見せる試合が行われる、そしてそのためにこのルールが存在すると考えてもよいと思います。

将来的にこのルールの試合は増えていくことでしょう。しかしあくまでもサブ的な位置付けにとどまるだろうと思います。つまり、試合が組まれたとしても前半から中盤あたりで、ビッグマッチでのメインに置かれることはないだろうということです。ただ、キャッチレスリングを盛り上げるためにROHのピュア王座のようなベルトが創設される可能性はあります。

あるいは、キャッチレスリングのトーナメントやリーグ戦のシリーズが組まれるようになるかもしれません。その間、これに参加しない選手はアメリカ大会に出場するという形にすることもできます。そうすることで、主役になる選手をシリーズごとに上手く変えていき、順番にアメリカ大会に出場していくということが可能になります。

いずれにせよ、このルールでの試合形式が広がるかどうかは1.4の柴田勝頼 vs X 次第というところもあります。まずはこの試合を楽しみに待ちたいと思います。

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