新日本におけるダブルフォールの意味

新日本におけるダブルフォールの意味

IWGPタッグ選手権前哨戦のスペシャルシングルマッチ、SANADA vs ザック・セイバーJr.の試合はまさかのダブルフォールという結末で幕を閉じました。しかし、そこには不透明決着感もなく、ある意味では納得のダブルフォールでの引き分けでした。

ダブルフォールとは?

TwitterなどのSNSでは、ダブルフォールなんて初めて見た!という感想を持つファンの方も多いようです。東京スポーツも新日本でのダブルフォールは「世にも珍しい」と表現されていました。

【新日本】SANADAとザックは世にも珍しいダブルフォール決着 超絶技巧戦は引き分けに – 東京スポーツ

ダブルフォールとはすなわち対戦している2人の肩がマットについている形になり、互いに3カウントを奪い合う形です。私も実際に遭遇したことはほとんどありません。丸め込みやホールドが崩れて仕掛けている選手の肩もマットについてしまうというケースが多いように思います。いずれにせよ、技を仕掛けている選手は納得のいかない決着となります。

新日本プロレスワールドでは放送開始前に真壁選手によるプロレスのルール説明がありますが、ダブルフォールの説明はありませんね。ルールとしては存在しても新日本プロレスでは前例がなかった(あるいは記録としてはあっても映像が残っていなかった)ために説明から省いていたのかもしれません。今後、この真壁選手によるルール説明がアップデートされた際にはこの時の映像が使用されるかもしれません。

ダブルフォールによる決着の試合

上で引用した東京スポーツの記事の中で引き合いに出されていたのは、1998年のジャンボ鶴田 vs リック・フレアーの試合がダブルフォールだったということです。リック・フレアー選手といえばこうした不透明決着が多かったですね。NWAチャンピオンとして、相手の強さを存分に引き出しつつ、あとわずかというところでベルトを防衛するという選手でした。NWAルールではオーバーザトップロープは一発で反則負けになりましたし(すなわちオーバーザトップロープをされた選手の反則勝ち)、反則やリングアウトによる決着ではベルト移動はしませんでした。そのため、こうしたルールを駆使しつつ防衛をすることで、対戦相手のテリトリーのファンに「うちの選手は負けたけれどチャンピオンより強い!」「次やったら勝てる!」という意識を持たせることができました。そのリック・フレアー選手をしてもこの決着はあまりなかったように思います。

また、同じ記事の中で、近年の全日本やノアの試合でも見られたとありました。調べてみたら結構見つかりました。

9/9【NOAH】まさかのWフォール…HAYATA-YO-HEY夫婦対決は痛み分け – プロレス格闘技DX

週刊プロレスプレミアム 熱戦譜より

2021年5月22日(土)ALL OUT ATTACK 2021 – プロレスリング・ノア公式サイトより

しかし、新日本プロレスでは私も記憶にありません。唯一それに近い試合としては、1990年ごろに一度会ったぐらいです。それは、藤波&木村 vs ザ・ロードウォリアーズの60分3本勝負の2本目でした。

この試合、1本目はロードウォリアーズが取りました。そして2本目、アニマル選手(だったかな?)がスープレックスを見舞おうと木村選手のバックを取ったところ、カットに入ってきた藤波選手がアニマル選手を突き倒しました。そして崩れたジャーマンスープレックスホールドのような体制になり、レフェリー(ミスター高橋さんだったかな?)がダブルフォールを取りに入ります。2カウントまで来たところで木村選手が肩を上げました。しかしアニマル選手の方はついた状態のままだったため、アニマル選手に対して3カウントが入りました。結果としては、技を仕掛けているはずのアニマル選手が3カウントを取られたということです。この判定に不服のロードウォリアーズはレフェリーに暴行を働き、そのまま反則負けとなった試合でした。


不透明感のないダブルフォール

翻って今回のSANADA vs ザックセイバーJr.の決着には全く不透明感はありませんでした。確かに両者とも不服そうでしたが、お互いにフォールを取りに行っている状態での決着です。お互いに一歩も譲らずにフォールを狙いに行き、結果的に自分もフォールを取られたという状態です。ファン目線からしても両者の実力は拮抗しており、また、ファイトスタイルにも共通の部分もあることから、今回の結果については「そういうこともあるだろう」という感覚の方が多いのではないかと思います。2人の決着をつけるのはまだもったいない、そう思わせるような戦いでした。次のシングルマッチは今年のG1なのか、あるいは来年のニュージャパンカップになるのか。非常に楽しみなことには違いありません。

クリックでぜひ応援を!私のやる気スイッチはこちらです。


プロレスランキング