EVILに真のヒールの姿を見た

7月25日のWRESTLE GRAND SLAM 東京ドーム大会のメインイベント、IWGP世界ヘビー級選手権試合は期待を上回るような激烈な戦いでした。そして試合後、突如としてリングに現れたのはEVIL選手でした。
急転直下のIWGP世界ヘビー戦は、37分越え真っ向勝負!
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) July 25, 2021
粘る棚橋を鷹木がラスト・オブ・ザ・ドラゴンで撃破!
試合後、場内暗転からEVILが“凶行”で挑戦表明…!!
【7.25東京ドーム結果】
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予見されていたEVILの登場
鷹木選手がIWGP世界ヘビー級王座を防衛し、試合後のマイクアピールで場を締めた瞬間、会場が暗転しました。そしてEVIL選手からのメッセージが流れ、会場に再び明かりが灯された時、リング上にはEVIL選手の姿がありました。
これはもちろん驚きもあったわけですが、一方でEVIL選手が登場することはある程度予見はできていました。まず、こちらの記事(棚橋がIWGP世界ヘビーに挑戦すべき5つの理由 – プロレス生活)でも触れていましたが、この日の大会で飯伏選手に代わりメインのリングに立つことができそうな選手は棚橋選手かEVIL選手に限定されていました。結果的に棚橋選手のアピールが通った形になりましたが、EVIL選手が無言を貫いているのは不気味でした。
また、第0試合で行われたKOPW争奪ニュージャパンランボーでもEVIL選手の登場を予見させるような出来事がありました。この試合中、EVIL選手の入場曲が流れ、スクリーンでもEVIL選手の登場が宣言されたにもかかわらず、実際に入場してきたのはディック東郷選手一人でした。そしてディック東郷選手がレフェリーに話しかけ、EVIL選手の代役としてニュージャパンランボーに参加しました。
これら2つの出来事から、EVIL選手はこの大会のどこかで乱入する、そしてそれはメインの可能性が高いということが予測できたわけです。
新日本の方針とEVIL
KENTA選手が内藤選手を襲撃した時とは異なり、この日のメインイベント後にEVIL選手がIWGP挑戦表明を行うということは新日本プロレスとしても認めていたことでしょう。映像も撮影されていたことがその証拠です。ただ、リングに上がり鷹木選手を襲撃するというところまでは会社が公式には認めていなかったのかもしれません。しかしながら、会場を暗転させてからの映像ということで、この間にEVIL選手がリングに向かうということはこれまでの行動から想定の範囲内です。ですので、会社としてもEVIL選手の行動を少なくとも黙認したということになるでしょう。
鷹木選手を襲撃するということがEVIL選手(とディック東郷選手)の独断であれ、会社としての方針であれ、これを平気な顔でやってのけるEVIL選手に脱帽です。現在は歓声を出すことができない、観客からの意思表示ができない状況です。こうしたバッドエンド的な展開は会場を静まり返らせてしまいます。実況席にいたミラノさんもヒロム選手もこれを非難していましたが、一方で蝶野さんからは「いやいやー、会場に来られたお客さんが声援を出せないという独特の雰囲気の中でドン引きするような行動でしたけどね。これはこれで俺はねー、面白いと思いますけどねー。」というコメントがありました。実にヒールらしいコメントではありますが、納得できる部分も大きいです。
こうした「事件」があると、それを観戦していた観客や視聴者の印象に深く刻まれます。そして、多くの人がEVIL選手に対して憎悪の念を抱きます。これはヒールレスラーとして非常に重要なことです。観客は大ブーイングを出すことで一定程度のストレス発散ができますが、それができない今はそのストレスが胸の奥底に残ってしまいます。そうした負のエネルギーも含め、次のビッグマッチにつなげていこうとしているのでしょう。そうすることで、ストーリーがWRESTLE GRAND SLAM 東京ドーム大会という「点」ではなく、おそらくはメットライフドーム大会までつながる極太の「線」となっていきます。鷹木選手がEVIL選手をマットに沈める姿が見たい!という観客のエネルギーが盛り上がっていく、そういうことが期待されているのではないでしょうか。
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