辻と上村、ヤングライオンとしての最後のタッグ

辻と上村、ヤングライオンとしての最後のタッグ

辻選手と上村選手の壮行試合の8月1日まであと2大会、そしてこの2人がタッグとして同じコーナーに立つのは7月30日後楽園ホールが最後となりました。2人のヤングライオンとしての期間が長かったこともありますが、これまでになく盛り上がるヤングライオン壮行シリーズとなっています。

新日本プロレスにおける壮行試合

新日本プロレスの全てのヤングライオンが壮行試合を組まれるとは限りません。成田選手、海野選手は2019年9月22日のヤングライオン杯最終戦後に海外遠征が決まりました。成田選手は柴田選手への弟子入りを志願し、海野選手は海外に行きたいと主張したことで、そのまま2人は次のシリーズに参加することなく海外へと旅立ちました。岡選手は忽然と消えてグレート-O-カーンに姿を変えてイギリスに現れました。新日本で最後に行われた壮行試合は2018年1月22日の川人選手に対するものでした。それ以前はというと2016年6月19日のジェイ・ホワイト選手の壮行試合、2016年1月16日から1月24日にかけて6試合行われた田中選手、小松選手の壮行試合となります。この中で、私が個人的に印象に残っているのはジェイ選手の壮行試合ぐらいです。川人選手、田中選手&小松選手の壮行試合はファンタスカマニアシリーズ中で、彼らの遠征先もメキシコだったということもありますので、全体的にお祭りモードだったように記憶しています。そしてジェイ選手の壮行試合が印象に残っている理由は、そこに至る経緯というよりも試合後のジェイ選手のマイクアピールが理由のようにも思います。

ホワイト「スイマセン! ちょっと待って下さい(※場内笑) オーサカ!(※大歓声)俺の言うことを聞いて下さい(※大歓声)。新日本プロレスファンズ、2015(年)と2016(年)、どうもありがとうございました(※大拍手)。新日本プロレスファンズ! 私のこれからも、よろしくお願いします(※『ジェイ』コール&手拍子)。新日本プロレス、また帰って来ます! なぜなら、この新日本プロレスリングは、俺の家だ!(※大歓声) そして! そして! 新日本プロレスと新日本プロレスファンズ、(※四方の客席へ向かって)あなた、あなた、あなた、あなた、あなたは私の家族です!(※大歓声) ありがとうござました! またね!」(新日本プロレス公式サイトより)

ヒールとなった今では口が裂けても言えないコメントですが、ここにはジェイ選手の新日本に対する想いが詰まっています。そうした現状と合わせて私としては非常に印象に残っている気がしているのでしょう。

ここで挙げた選手たちの海外遠征にあたり、壮行試合そのものやその後のマイクアピールは多少しんみりした雰囲気にはなりました。しかしながら、新日本プロレス全体として壮行試合にスポットが当てられていたかというと、そうではありませんでした。それはやはりファンタスカマニアのシリーズ中であったり(川人選手、田中選手、小松選手)、ベスト・オブ・ザ・スーパージュニアシリーズ中であったり(ジェイ選手)したからだと思います。それと比較し、今回の辻選手、上村選手の壮行試合はこれまでになく盛り上がっているようにも思います。


辻と上村の壮行試合が注目される理由

今回の壮行試合はSUMMER STRUGGLE のシリーズ中に行われます。この日はNEVER6人タッグというタイトルマッチこそありますが、全5試合中2試合が壮行試合です。会社としても2人をしっかりと送り出そうという意図が見えてきます。また、このシリーズ中に対戦する先輩レスラーからも2人に対するコメントが多く出されています。バックステージコメントの映像を見ていると先輩レスラーの気持ちも伝わってきて非常に感傷的な気分になります。これは、2人が長くヤングライオンをやってきたこともあって先輩レスラーとのさまざまなストーリーが生まれていたことと無関係ではないでしょう。そして何よりも、彼らは海外遠征に行けないんじゃないか、海外遠征を経ずにヤングライオンを卒業するのではないかという空気が醸成されていた中での壮行試合ですので、ファンとしても、そしておそらく先輩レスラーとしても彼らに対する祝福の思いが強いのだろうと思います。先輩レスラーからのコメントが多く出されているのはそうした理由もあるのでしょう。

また、試合の中でも先輩レスラーからの思いが伝わってくる部分もあります。7月30日の試合は2人のヤングライオンとタッグを組んだ真壁選手が辻選手、上村選手をハンマースローするところから試合が始まっています。

2人との最後のタッグとなった真壁選手から、「お前ら、行ってこい!」と檄を飛ばされているような、そんな印象を受けました。また、試合後には上村選手に対してこの日の対戦相手でもあり2019年のジュニアタッグリーグ戦でのパートナーでもあったタイガーマスク選手が何やら声をかけ、上村選手の手を挙げました。上村選手は試合に負けて悔しい、タイガーマスク選手に何も残せなくて悔しいという思いがあったでしょう。しかし、タイガーマスク選手の気持ちも伝わったと思います。

そして最後は辻選手、そして中島選手に両脇を抱えられて退場する姿もまた印象的でした。海外遠征から戻ってきた時はおそらく2人は別のコーナーにいます。タッグとして、肩を寄せ合って戦うのはこの日が最後だったのかもしれません。

2人の旅立ちまであと2試合です。最後までしっかりと見届けたいと思います。

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