辻と上村、海外遠征への期待

辻と上村、海外遠征への期待

プロレスデビューを果たしてから3年4ヶ月、ついに辻選手と上村選手がヤングライオンを卒業する時が来ました。さまざまな事情があったとはいえ、近年では非常に長い下積み期間でした。

海外遠征で得られるもの

辻選手と上村選手はこれから海外へと旅立ちます。まだどの国に遠征するかは発表されていませんが、辻選手に関してはメキシコが有力でしょう。上村選手はイギリスかアメリカでしょうが、スタイル的にはイギリスの方が合いそうにも思います。

新日本のレスラーにとって、ヤングライオンとは限られた攻防の中で技や試合運びを含めたプロレスの基本を身につける期間です。そして海外遠征とは自らのキャラクターを定めていく期間とも言えるでしょう。ただ単に強くなるためであれば野毛道場でトレーニングをしつつ新日本のリングで戦うのがベストです。しかし、プロレスとは勝ち負けだけの世界ではありません。ファンはその選手の持つバックボーンやヒストリーを含めて共感し、応援していきます。サラリーマンレスラーではなく、強い心を持ったファイターに魅了されるのです。そのため、衣食住を保障された野毛道場から旅立ち、海外のリングでレスラーとして生き延びていくためのハングリー精神を鍛え上げるのです。新日本とは異なる試合運びやファンの反応、見知らぬレスラーとの対戦など、学ぶことはいくらでもあります。8月1日のバックステージでオカダ選手は次のようなコメントを残しています。

海外に行くことによって、いろんな人と触れ合って、いろんなものと触れ合って、それで新しく自分の感性を磨いて、そういうものがプロレスに出てくるから、レスラーってさ、人生が投影されるもんだと思っているから。(新日本プロレス公式サイトより)

ファンは自分の人生をレスラーに投影させて共感する部分も多くあります。倒れても立ち上がっていく棚橋選手に夢を見て、メインロードを外れたところから天下を獲りに行った内藤選手に共感し、どっしりとど真ん中に君臨するオカダ選手に安心感を覚えるのです。辻選手、上村選手は下積み期間が長かったこともあり、ファンの目にも長い期間晒されてきました。これだけの期間を腐らずに戦ってきたというだけで2人にはすでに多くのファンからの思い入れを獲得しています。これは長い期間をヤングライオンとして過ごしてきたからこそ得られたものです。そして海外遠征前にすでに多くの先輩レスラーと対戦をし、ドラマを作ってきました。2人が凱旋帰国した後、この種が芽となり、花を咲かせる時がきっと来るでしょう。


先輩レスラーからのメッセージ

辻選手、上村選手がここに至るまで、多くの先輩レスラーからメッセージを受け取っています。それは言葉だけではありません。例えば上村選手の壮行試合後にオカダ選手から放たれたドロップキックもそうしたメッセージの一つでしょう。

辻選手の対戦相手の内藤選手は、白のタキシードという正装で登場しました。お前への大事な試合に敬意を払ったぜ、といった感じでしょうか。また、7月30日には次のような写真をTwitterに上げていました。

開場前のリング調整のワンシーンですが、辻選手がリング中央に写っています。内藤選手は意図的にこの写真を使ったのでしょう。この写真はさまざまに解釈できそうですが、私としては「辻、トップレスラーになってリングの中央に立つようになれ」ということじゃないかと感じました。内藤選手は2021年3月31日の試合で辻選手にエスペランサ(希望)を仕掛けたように、言葉に出さない部分で辻選手へのメッセージを残しているようにも思えます。

また、この日の試合でタイチ選手が試合を終えて引き上げる際、辻選手と握手を交わしていました。解説席のライガーさんがそれに気づいて声をあげていましたが、確かにそのシーンも映像で確認できました。タイチ選手から手を差し伸べ、辻選手は立ち上がって握手をしています。言葉が交わされたかどうかは分かりませんが、おそらくタイチ選手からの無言のメッセージでしょう。

海外にいるゲイブリエル・キッド選手も2人には特別な感情があったようで、次のような写真をTwitterに上げていました。

ゲイブ選手はLA道場所属のヤングライオンとはいえ、1年以上も野毛道場で辻選手、上村選手の2人と苦楽を共にしてきました。彼らの物語がどこで再び交わるのか分かりませんが、次にリング上で会うときには3人ともトップ選手となっていることでしょう。

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