Roppongi3K解散の先には何がある?

Roppongi3K解散の先には何がある?

8月16日のジュニアタッグリーグ公式戦でSHO選手がYOH選手を裏切るという衝撃の展開が見られました。すでに多くのファンの方がさまざまな反応を示していますが、それほどのサプライズだったということでしょう。

SHOの裏切りはなぜ衝撃的だったか

新日本プロレスの歴史は裏切りの歴史と言っても過言ではありません。タッグパートナーを裏切る、所属ユニットに牙を剥くことによって自らの地位を高めるとともに、リング上にはこれまでとは違った光景が広がります。ここ最近だけでも、KENTA選手(2019年8月12日)やEVIL選手(2020年7月11日)、オスプレイ選手(2020年10月16日)が裏切りを見せています。その前となるとジェイ・ホワイト選手(2018年1月6日)まで遡るでしょうか。ジェフ・コブ選手(2020年11月15日)やヘナーレ選手(2021年4月4日)はXとして現れましたので裏切りの質が少し異なっています。

もちろんそれぞれの裏切りやXは驚きだったわけですが、今回ほど強烈な衝撃を受けた記憶はありません。EVIL選手やジェイ・ホワイト選手は裏切りの前から不穏な空気を醸し出していましたし、KENTA選手は参戦して日が浅く、新日本プロレスのファンにKENTA選手を取り巻くストーリーや歴史が十分浸透しないままにBULLET CLUB入りしたためということもあるでしょう。

Roppongi3Kの場合は、最近ファンになった方もおそらく彼らの歴史というものをご存知かと思います。同期入門で2人揃っての海外遠征、そして凱旋帰国して即ジュニアタッグ王座戴冠と、2人で新日本での歴史を歩んできました。また、彼らはリング上だけではなく個人的にも非常に親しい関係で、以前は同じマンションの別の部屋に住んでいたようですし、2人が中心となってTHE SAKURA DENBUというバンドを結成して活動もしていました。そうした個人的なつながりもあり、いくらSHO選手の足枷となっているのはRoppongi3Kだと言われようが解散することはないと思っていました。SNS上では半ば冗談で「裏切りのファイブスタークラッチ」という言葉も乱れ飛ぶなど、この2人が袂を分つことを本気で予想していたファンは少数派だったのではないでしょうか。そして、もし裏切ることがあるならばYOH選手からという考えを持っていた方も多そうです。

そして、これまでの裏切りとはやはり大きく異なるのは、ジュニアタッグリーグ公式戦の最中での裏切りだった点です。EVIL選手はNEW JAPAN CUPで、やオスプレイ選手はG1で裏切り行為を見せました。しかしこれらはシングルの舞台です。タッグリーグで、しかも最終戦を待たずに裏切るという行為はこれまでに見たことがありません。新日本プロレス公式サイトには「SHO&YOHはチーム分裂のため、試合不成立」とアナウンスされていますが、「チーム分裂のため」という理由でタッグリーグ半ばで離脱したのは初めてではないでしょうか?いや、私が知らないだけかもしれませんが。



ファンの反応、選手の反応

SHO選手の裏切り行為を受け、Twitter上では悲鳴にも似た呟きが飛び交いました。まさかSHO選手が裏切るなんて、これで3Kが見られなくなるなんて寂しすぎるという声も多く見られましたが、中には過去の3Kの写真を見て涙が止まらないという方もおられたようです。これまでにないような非常に多種多様な反応が見られたのも今回の裏切り劇の特徴かと思います。

一方で、これに対する選手の反応は非常に淡々としたものです。そもそもTwitter上でもこの事件に反応している選手がほとんどいません。同じ大会に出場していた後藤選手に至っては、いつものように早めに消灯してしまったが故に自らも所属するCHAOSの一大事に気づいたのが翌朝という大失態を犯しています。

さすがに目の前で裏切り劇を見せられたデスペラード選手は反応していますが、これは裏切り行為に対してというよりはむしろ自分たちに対するSHO選手の失礼な行為への不満を漏らしていると言った方がいいでしょう。

他にはタンガ・ロア選手とアーロン・ヘナーレ選手がnjpwworldの画像をリツイートしているぐらいで、非常に静かな状況です。翌日(8月17日)の解説に入っていた高橋ヒロム選手は「SHOの本性が出た」と語っていました。2人の普段の状況やリングを降りた後の顔を知っている選手からすると、SHO選手の裏切りはそれほどのビッグサプライズではなく、起こるべくして起こった事態と捉えているのかもしれません。プロレスラーとしての成り上がり方をよく知っている選手からも、SHO選手はRoppongi3Kの存在が足枷になっていると見えていたのかもしれません。仮にそうだとすると、SHO選手がさらに存在感を増すためには何かを大きく変えなければならない、それが3K解散だということは周囲のレスラーにとっての共通認識だった可能性もあります。ただ、ジュニアタッグリーグを蔑ろにされたことにデスペラード選手は怒り心頭なわけですが。

SHOとYOHの向かう道は?

ここからの現実的な問題としてSHO選手とYOH選手はどこへ向かうのかということです。公式にチーム分裂とアナウンスされたはいいものの、このまま2人揃ってCHAOSに残っているわけにはいかないでしょう。素直に考えればSHO選手がCHAOSを抜けることになるかと思います。現在の新日本プロレスでユニットに所属しないということは現実的ではありません。なんとなく本隊というわけにもいかないでしょう。となると、鈴木軍、BULLET CLUB、ユナイテッド・エンパイア、L.I.Jのいずれかになります。勢力図的には鈴木軍に入り、DOUKI選手のパートナーとなるのが最も収まりが良いようにも思います。しかし、金丸&デスペラードに対する失礼な行為とそれに基づく両者の憤慨ということを考えると、簡単に鈴木軍ということにもなりません。すでにほぼベビーになっているL.I.Jもカラーが合わないため難しいでしょう。

そうするとBULLET CLUBかユナイテッド・エンパイアとなります。勢力図的にはジュニアのいないユナイテッド・エンパイアに加入するのが自然な流れでしょう。また、ユナイテッド・エンパイアであれば、裏切りの際に見せた怒りや蔑みを前面に出しつつもファイトスタイルを変える必要はありません。オーカーン選手もリング内外で口汚く相手を罵ったり俺様発言をしたりしますが、試合ではあからさまな反則行為をしたりヒールムーブをしたりするわけではありません。表情と言葉ぐらいでしょうか。

しかし、おそらく可能性としては低いでしょうが、私が期待するのはチーム・フィルシー入りです。リーダーのトム・ローラー選手はMMAでも活躍しています。SHO選手がアメリカにわたり、チーム・フィルシーに加入した上で、トム・ローラー選手について格闘技のテクニックを向上させることはSHO選手にとっても悪い話ではないと思います。チーム・フィルシーではジュニアのダニー・ライムライト選手もいますので、この2人でタッグを組んでも面白いように思います。

一方のYOH選手も、今の状態でシリーズ終盤戦もしれっとCHAOSで試合に出続けることはないでしょう。心身ともに万全ではない状態ですので、少なくともSUMME STRUGGLEシリーズの残り4大会は欠場する可能性が高いです。実際、足の状態もよくないのかも知れません。それよりも問題は心の方ですが。以前の記事(YOHが復活するためには何が必要か? – プロレス生活)では、YOH選手が復活するためには単独で海外遠征に行き、シングルの実績を残してくることが必要なんじゃないかという旨のことを書きました。それはRoppongi3Kに戻るということが前提だったのですが、それが叶わなくなったとしてもやはり単独で海外遠征に出て心を鍛えてくる必要があるのではないかと思っています。とは言え、しばらくはファンの目から逃れられるところでじっくりと心と体を鍛えることが必要です。アメリカ、特にLA道場を拠点とした修行ではそれは難しいでしょう。CMLLもゴタゴタしているようです。そうすると、良好な関係の続いているイギリス・RPWか、或いはファレ選手がヘッドコーチを務めているNZ道場(ファレ道場)を拠点にトレーニングをするという可能性もあります。

いずれにせよ、これだけのことをして2人とも埋もれてしまっては元も子もありませんので、この悲劇をバネにしてさらに成長をしてもらいたいと願うばかりです。

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