IWGP女子王座はどうあるべきか?

IWGP女子王座はどうあるべきか?

7月29日の『STARDOM戦略発表会2022』ではさまざまなことが発表されました。全体的には非常に明るい、希望の持てる内容だったように思います。しかし、最後に発表されたIWGP女子王座の設立については賛否両論が湧き上がる結果となりました。

✪IWGP女子王座に反対する声

Twitter上で見る限り、IWGP女子王座に賛成する声も多くありますが、反対する声も無視できない程度には見られます。その反対理由としては、おおよそ以下のように分類されると思います。

1.IWGPの理念はどうなる?

2.IWGPの価値が下がる

3.ワールド、ワンダーとの位置付けはどうなる?

1の理由は、どちらかというと取ってつけたような印象も受けます。もしくは古くからのファン層も含まれるかも知れません。2は新日本プロレスメイン層が、3はスターダムも追っているファン層もしくはスターダムメイン層からの視点のように思います。ただ、どの反対理由も納得すべき点があるのは確かです。

ただ、1の「IWGPの理念」については、すでに現状に合っていないようにも思います。小規模なインディー団体ならともかく、新日本やスターダムのようなメジャー団体で最高峰のベルトが1本だけしかないとなると、すぐにマンネリ化が起こりますし、新規ファンの掘り起こしも難しくなります。かつてのようにアントニオ猪木という絶対的な存在がおり、猪木とタイガーマスクさえ来れば地方会場は満足するというような時代でもありません。レスラーの多様化、ファンの多様化という視点から団体経営を考えると、IWGP世界ヘビーをめぐる争いだけでなく、IWGPジュニアタックやNEVERをめぐる争いが同時並行的に展開されるような状況の方がベターと言えるでしょう。

木谷オーナーの釈明

さて、7月29日の発表の翌日、木谷会長が釈明することになりました。そこでは上記のような反対意見を受け、「もう少し丁寧な説明をするべきだったと反省します」と語っています。

【スターダム】木谷オーナー〝IWGP女子王座〟戦略を釈明「歴史、伝統とお客さまの思い入れを思い知りました」(東スポwebより)

ここでも木谷オーナーは✪IWGP女子王座の運営について語っていますが、戦略発表会の際と少しトーンが異なる部分があります。29日の戦略発表会では、「新日本なら1.4やスターダムのビッグイベントの中でやる。ぼく個人では他団体でもとにかく幅広く存在するタイトルにしようかと思っております。」と語っていました。それが釈明記事では、

スターダムの大会では、年に1回の大ビッグマッチくらいじゃないですか。あとは新日本との合同興行ですが、これも今度やってみないと今後はまだ分からない。あと新日の1・4とか(毎年6月の)大阪DOMINIONがそのタイトルマッチ開催の候補となりますね。そして米国大会とか英国大会とか。年に多くて7~8回、少なければ4回くらいの防衛戦のタイトルじゃないですかね。【東スポwebより】

となりました。これで私が個人的に懸念していた部分は解消されたかなという印象を受けました。上記の2つ目の反対理由で触れた「IWGPの価値が下がる」という部分です。この意見の理由として「女子がIWGPを冠するベルトを持つなんて!」という思いを密かに持っている方もいるかもしれません。しかし、私としては「他団体でもとにかく幅広く存在するタイトルに〜」という部分に引っ掛かっていました。すなわち、IWGP女子王者が国内の他団体に出向いて防衛戦を行うような位置付けであれば反対でした。「幅広く」ではなく「幅狭く、限定的な」ベルトであれば賛成という考えでした。

上記の引用にあるように、木谷オーナーの考えとしては11.20の合同興行で初代王者が誕生し、WRESTLE KINGDOM、DOMINIONの2回に加え、(今後も開催するのであれば)11月の新日本・スターダム合同興行、そして新日本の海外興行限定でタイトルマッチを行うことになります。おそらくスターダム単独のビッグマッチでタイトルマッチは組まれず、あくまでも新日本の興行内においてのみタイトルマッチが行われるということになるのではないでしょうか。

新日本とスターダムが合併する?

上で挙げた反対意見とは別になりますが、「新日本とスターダムは合併するのか?」という疑義を呈していた方もおられました。しかし、今回の✪IWGP女子王座設立の意図はその逆で、新日本とスターダムが別々であるために設立されたのではないかと考えます。

WWEやAEW、あるいはGCWやMLW、RPWというアメリカやイギリスの団体では、必ず女子の試合も行われます。インディー団体によっては男子だけの興行もあるのかもしれません。また、欧米の団体でも女子だけの興行もありますが、数は多くありません。STRONGでは男子だけの試合ですが、AEWとの合同興行Forbidden Doorでも1試合だけ女子の試合が組まれましたが、サンダー・ロサ vs トニー・ストームというAEW提供試合でした。女子の試合を入れるということはおそらくAEWとして譲れない部分だったのでしょう。

こうした世界的な潮流からすると、新日本プロレスに女子レスラーが所属していない、新日本プロレスの大会に女子の試合がないというのが異質のように見えてきます。しかし、仮に新日本とスターダムが合併してしまうと所属選手を捌ききれないという問題が発生します。AEWに登場する女子選手は多くいますが、AEW DynamiteやAEW Rampageの1回の放送の中で女子の試合はせいぜい1〜2試合程度です。また、AEW DarkやAEW Dark Elevationに登場する女子選手の半数近くは花道を歩くことができず、メインロースターの選手に秒殺される運命にあるインディーの選手です。既にスターダムには6つのユニットと30人ほどの所属選手がおり、スターダム独自の世界観が成立しています。それを新日本プロレスの興行の中に組み込むことは不可能でしょう。国内2位のプロレス団体、世界最大の女子プロレス団体というブランドを確立できていますので、合併することは得策ではありませんし、木谷オーナーの頭にもそのような考えはないでしょう。

ただ、既に述べたようにアメリカで新日本プロレスが興行を行う際、賛否はともかくとしてビッグマッチであればあるほど女子の試合も求められることになってくるでしょう。その時、✪IWGP女子タイトルマッチという試合を組み込むことで、新日本としてもアメリカのスタンダードを維持することができるとともに、スターダムの選手にとっても海外ビッグマッチへの出場というチャンスを与えられるということで、双方にとってはWin-Winとなるのではないでしょうか。

WRESTLE KINGDOMでのスターダム提供試合

国内の興行でも、これまでに何回かスターダムのレスラーが新日本のリングに上がってきました。私の記憶が正しければ、初めてスターダム提供試合が行われたのが2020年の1.4東京ドーム大会のダークマッチでした。その後も2021年の1.5東京ドーム大会、9.4&9.5メットライフドーム大会でそれぞれダークマッチが、そして2022年の1.5東京ドーム大会では初めて本興行の第2試合としてスターダムの提供試合が行われました。私はいずれも会場には行ってませんが、ワールドで見る限りにおいては観客も違和感なくその試合を受け入れ、楽しんでいたように思います。ただ、これらの提供試合はその時の話題の選手が出場するという形で、まさに「今のスターダムを見てください、知ってください」というようなスタンスだったように私は受け止めています。それが✪IWGP女子王座設立により、今後は少なくとも1試合は本興行内でタイトルマッチが行われることになるでしょう。WRESTLE KINGDOMやメットライフドーム大会というビッグマッチでの、ある種のお祭り的な要素として組み込まれていたスターダム提供試合の格がグッと上がることになるのではないでしょうか。

✪IWGP女子王座のあるべき姿

繰り返しになりますが、✪IWGP女子王座のタイトルマッチは限定的であってほしいと思っています。スターダムの選手にとってこの王座は新日本プロレスのビッグマッチのリングに上がる通行手形としての位置付けで、ワンダーやワールドのベルトとは別次元で存在していてほしいとも思います。ワールド王座(赤いベルト)やワンダー王座(白いベルト)の保持者が✪IWGP女子王者となってもいいと思います。ベルト統一や二冠戦を行うのではなく、あくまでも別のストーリーラインにある王座としての位置付けであれば、SWAを含め現在のスターダムのタイトルの価値を毀損することもないでしょう。✪IWGP女子王者はスターダムの顔として、そして広報部長として新日本や海外のリングに上がり、スターダムの存在を見せつけるとともに、新たなファンをスターダムに持って帰るということが理想なのかもしれません。

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